CAEの活用
脚設計の適正化および効率化のためにはCAE(コンピュータによる技術検討支援)の活用が欠かせないものとなっています。
以下のような各種解析にCAEが利用されています。
脚構造をどのように折りたためばコンパクトに機体に収納できるのか、機体へ収納する過程で動かなくなってしまうことがないか等、部材の動きを機構学の観点から予想、検討します。
着陸などの荷重が作用したときの各部の荷重や応力をFEMなどを用いて算出します。材料許容値に対して余裕があるときは軽量化のために肉厚を軽減し、その状態で再び荷重や応力を算出します。この一連の作業の繰り返しにより部品の形状などを検討、決定していきます。
(3) ランディング解析
着陸時の機体の運動エネルギーは脚に設けられた空気ばね機構と油圧減衰機構により吸収されます。
ランディング解析は着陸時のエネルギーの吸収量や機体に加わる荷重を予想するために実施されます。
(4) シミー解析
地上を高速で滑走するときに、タイヤから伝わる荷重によってシミーと呼ばれる大きな振動が発生する場合があります。
シミー解析では脚構造の剛性や減衰要素を考慮し、シミー発生の有無や発生条件を予想します。
(5) 脚揚降性能解析
アクチュエータにより脚を機体に収納すること、収納された脚を機外に展開することを脚揚降と呼びます。
重力や空力荷重が脚に作用する条件下での脚揚降の可否や、脚揚降中に発生するアクチュエータ荷重等を予想するために揚降性能解析が実施されます。
CAEの活用例1:揚降リンク機構解析
脚組立にはいろいろな箇所で、部材同士をピンを用いて回転自由に結合したリンク機構が使用されます。機体への収納時に脚を折りたたむ揚降リンクのように複雑なリンク機構には、3D CADが提供するKinematicシミュレーションの機能を用いて機構解析を実施します。揚降リンク設計の初期段階には無理のない収納を実現するため、部材間の回転軸の配置を検討します。設計が進み詳細な部材形状が決まってくると、揚降中の部材間の干渉や機体側部材との隙間をチェックします。これらの検討に機構解析は不可欠なものとなっています。
機構解析例:主脚揚降リンク
CAEの活用例2:FEM(有限要素法)解析
強度解析では、部材に作用する荷重や各部の応力を算出するのにFEM解析を多用します。最近ではコンピュータの計算能力の向上により、部材単体での解析はもとより、複数の部材を組み合わせた3D FEM解析、さらにそれら部材間の荷重伝達方法として接触荷重を定義した解析などが、比較的短時間で計算できるようになっており、解析精度の向上に役立っています。
FEM解析例1:主脚全体の応力解析
FEM解析例2:アップロック装置の応力解析
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