技術情報 Technical information

MEMSとは

Micro Electro Mechanical Systems(微小電気機械システム)の頭文字からメムスと呼ばれています。 半導体生産にて開発・確立された微細加工技術を駆使・発展使用することにより、2次元集積回路(LSI)ではない3次元機械構造物として製作されるデバイスのことを指します。

MEMSプロセス

集積回路(LSI)が必要としなかった微細加工プロセスやSi深掘りエッチング技術(Si-DRIE)。

MEMS応用例

ジャイロや加速度センサ、インクジェットプリンターノズル、光通信スイッチ等部品、携帯電話用素子

ジャイロの歴史

実用的なジャイロスコープは20世紀初頭に次々と製品化されました。シリコンセンシングはE・スペリーが1913年に英国に設立したSperry Gyroscope Company Ltdを前身会社としており、100年間にわたりジャイロスコープを設計製造した歴史があります。

ジャイロの100年史

慣性センサと慣性センサを用いた応用製品

慣性センサ

運動体の加速度や角速度、地球の自転や重力を検知するセンサを指します。

慣性センサを用いた応用製品

慣性センサ出力に対して演算を行うことで、角度・速度・位置などのセンサの物理量とは異なる情報を提供する装置を指します。

慣性センサと慣性センサを用いた応用製品の種類

  略称 名称 製品名 出力データ
角速度 加速度 姿勢角 方位 速度 位置
Silicon Sensing Systems 慣性センサ ジャイロ CRM100/200,
CRH03, CRS39, RPU30
加速度センサ CAS200, CAS290
IMU 慣性計測装置 DMU11, DMU41,
MRN-01(住友精密工業)
住友精密工業 VG 姿勢測定装置 AMU Lite, AAU-11
AHRS 姿勢方位基準装置 GCAH-12,
GCAH-21
INS 慣性航法装置 (開発中)

GPSに頼らず真北を検出する技術のブランド

地球の自転角速度を測定できる高感度MEMSジャイロと新開発のアルゴリズムの組み合わせにより実現する画期的な技術です。

真北方位・姿勢角が得られ、真のジャイロコンパスが構築できます。

真北の検出原理

  1. 地球の自転角速度を3軸のジャイロで測定
  2. ベクトル合成し真北を演算

Northfinder™について

GNSS/INSとは

INS(Inertial Navigation System :慣性航法装置)

ジャイロと加速度センサにより、プラットフォームの姿勢ヨー・ロール・ピッチ角 と位置、高度、移動速度、移動方向といった、プラットフォームの運動や現在位置を推定しながら目的地まで高精度にガイダンスする装置です。住友精密工業の INS は、小型軽量・低価格な MEMS(Micro Electro Mechanical Systems) 式のジャイロと加速度センサをそれぞれ 3 軸有しています。

GNSS(Global Navigation Satellite System:全地球航法衛星システム)

カーナビゲーションで有名なGPSというのは、米国が運営する航法衛星システムの固有名称で、GNSSは各国(欧州のGalileo、ロシアのGLONASS、中国のBeiDou、日本のQZSS)の航法衛星システムの総称となります。

GNSS/INSとは

民間航空に関する国際技術委員会、認証・標準化団体によると、GNSSと組合わせて使用するジャイロ応用機器については「GNSS Aided-」という表現が多く用いられています。日本における正式名称はまだ規定されていないようですが、「GNSS複合慣性航法システム」という名称が広く用いられています。つまりGNSS/INSとは、「GNSSの助けを受けて精度向上を図るINS」というアーキテクチャと考えられます。住友精密工業のGNSS/INSは「助けを受ける」という一方的かつ受動的な考え方ではなく、「INSとGNSS両方の状態を監視しながら、様々な条件判断によりGNSSのデータを利用するか決める」という能動的な方式を採用しており、この意味では『協調』という設計思想となっています。

INSに関する性能的問題

例えば、ある軸のジャイロ観測値を短時間(msec単位)で見ると、左図のようにノイズの影響でばらつきます。

ただし、このばらつきの平均値(中央値)が0であれば大きく深刻な問題にはなりません。

ジャイロ自体の発熱により電子の活性度が変わり、ばらつきが特定方向にシフトします。
同時に、平均値(中央値)も同じ方向に移動します。

INS単体精度に起因するアプリケーション上の問題

INSに生ずるドリフト成分により長期的角度誤差が発生します。
例えば、図のように2deg/hr(1時間に2°ずれる)のドリフト角度が発生するINSは、1時間の運航で約2,793mのミス・ディスタンス(距離誤差)をもたらします。

GNSSとの協調動作によるINSの高精度化

GNSSとINSが協調することで、INS単独で発生していたドリフト角度誤差の一方的増加を抑えることが可能です。
しかし、GNSSでは衛星配置や電波受信状況などにより、測位精度が時々刻々と変化します。GNSSの測位精度が悪い状態で協調すると、INSの精度が悪化するケースがあります。そのため、住友精密工業のGNSS/INSは、GNSSの測位精度を推定し、様々な判定を行い、協調するかどうかを判断することで、周囲環境などのダイナミックな変化にも柔軟に対応し、かつロバストな性能を実現しています。

Wataridori(GNSS/INS)について

住友精密のMEMS事業概要

住友精密工業(株)MEMSソリューション室

世界最先端のMEMSソリューションを提供し、ポスト5G・デジタル社会の推進、脱炭素社会の実現に貢献します。

住友精密工業(株)MEMS事業室

  • MEMS素子:MEMSジャイロ/加速度センサの設計・開発(*)
  • MEMSジャイロ/加速度センサ応用製品の設計・開発(*)

(*)は下記シリコンセンシングシステムズ販売品の支援業務

住友精密工業(株) ICT開発室

  • 圧電薄膜技術の開発:高いFOMを示すepi-PZT薄膜の開発

(株)シリコンセンシングシステムズ

  • MEMSジャイロやMEMS加速度センサの製造・販売
  • MEMSジャイロ/加速度センサ応用製品の製造・販売
  • ファンドリーサービス

SPPテクノロジーズ(株)

MEMS素子を生産するためのシリコン深堀エッチング装置の国内トップメーカー成膜装置他の各種半導体製造装置も製造。